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飲食店 サブリースと問題となった住宅のサブリースの違いは?
サブリースと聞くと「又貸し」のイメージがあります。
ただし単に又貸しをしているのではなく、サブリースとしての責任を果たしながらリース契約を行います。飲食店のサブリースはトラブルにならないように契約レベルから細かなチェックを経験から積み上げます。
この記事は飲食店サブリースについてお伝えいたします。
Contents
サブリースと問題となった住宅のサブリースの違いは?
飲食店のサブリース
飲食店のサブリースはあくまでも賃貸借契約上の権利関係のみです。
建物所有者=大家さんから転貸を承諾するマスターリース契約を飲食店舗サブリース事業者は締結するものです。
問題となった住宅のサブリース
一般的な住宅サブリースもこれと同じです。
今回問題になっているのは、サブリース物件に対して投資を付け加え、
投資の空売りをしたところが問題となりました。
この違いについてお伝えする前にサブリースの歴史について触れます。
サブリースとは
そもそもサブリースという言葉自体が日本で作られた造語です。
1980年代、土地の高騰によりオフィスビルなどの開発業が進まなかった時代に、土地活用を促す仕掛けの一つとして考えだされたものです。
具体的に見てみましょう。高層ビルやマンションが建築可能なエリアで、土地を持つ地主さんに対し、大手のデベロッパーは相続税対策として高層ビルや高層マンション建築を持ちかけました。ところが、地主さんの一番の心配事は、安定した家賃収入が入ってくるかどうかだったのです。
安定収入が入ってくれば、建築後の何十年にも及ぶ返済と月々の生活費を心配することは無くなります。そこで考え出されたのが、デベロッパーによる一棟借上げつまり家賃保証をすると言う契約です。市場で取引される賃料の80%~90%の額が保証されていました。この大家さんとデベロッパーの契約をヘッドリース契約とかマスターリース契約と呼びます。
これに対し、今度はデベロッパーが貸主となり、実際に入居するテナントと結ぶ転貸借契約をメインのマスターリース契約に対してサブリース契約と名付けたのです。
問題となっているサブリースの契約は?
それでは具体的に、問題となったサブリースについて、契約レベルから見ていきましょう。
トラブルの舞台はアパート一棟のサブリース契約です。登場関係者は主に3者
- アパートの一棟販売と家賃保証をするサブリース会社
- アパート1棟をローンで購入し家賃をえる投資家
- アパートの投資家に融資をする銀行
問題となっているスキームは今に始まったことではなく以前から存在したものです。大東建託、レオパレス21など同様のやり方で大きくなっています。
では何がちがうのでしょうか。ポイントは大きく2つ、
- 自己資金が足りない投資家に過剰な融資をした(と伝えられている)
- アパートサブリース業者が家賃保証に耐えられなくなった(保証賃料の不払い)
サブリースの問題点を整理する
報道されている内容を基に問題点を整理します。
数千万円も借りられなかった投資家に1億円とも言われる融資がついたことがそもそもの間違いです。アパートサブリース業者は家賃保証を口実に自分たちが開発した投資用アパートを投資家に販売します。
そもそも保証賃料を高めに設定すれば、期待利回りから逆算して投資用のアパートは実際より高い金額で販売されることになります。この時点でアパートサブリース業者は多額の利益を得ることになります。
仮にその高い賃料を2年程度保証したとしても売買価格から得られる利益が少々少なくなるだけで痛くもかゆくもありません。その後入居者が集まらないことを理由に保証賃料を下げれば損はでない仕組みです。
このスキームでは、投資家に販売する投資用アパートの数が多ければ、高い保証賃料はたとえ入居者が少なくても払えるはずでしたが、どこかで破綻をきたし、投資家に家賃が保証できなくなった為に問題点が露見したと言うことです。
投資家=大家さんが今回の被害者となります。
サブリースで大家さんに家賃が払えないことが問題ではありますが、そもそも投資家はそのリスクを分かっていて陥った悲劇でもあります。そのことがあまり報じられないことがサブリースに対する風評被害を大きくすることとなったのです。
飲食店のサブリース契約
問題となった住宅のサブリースとの違いは、投資家も銀行も登場しません。
また、サブリースをだしに不動産の販売をするものでもありません。
あくまでも賃貸借契約上の権利関係のみです。
飲食店のサブリース契約は以下の様に整理できます。
飲食店のサブリースをもっと具体的に
建物所有者=大家さんから転貸を承諾するマスターリース契約を飲食店舗サブリース事業者は締結します。
先程のアパートサブリース事業者と違い、立場的には大家さんの方に主導権があります。何故なら貸し手市場だからです。投資スキームに異議を唱えられない投資家の大家さんとは真逆の立場です。
そもそも、サブリース=転貸の承諾ありきの投資案件と違い、飲食店の転貸承諾は建物所有者である大家さんに判断の権限があります。
飲食店舗のサブリース会社は勝手に転貸などすることは不可能です。仮に、飲食店のサブリース業者が今回問題となっているアパートサブリース業者のように賃料の不払いをしたとしても、飲食店のサブリースの場合、実際にお店を使用しているサブリース先である転借人から賃料を直接請求できますので問題はほぼ生じません。
二つのサブリース契約
同じ大家さんでも、建物を所有する大家さんと購入金額の大半を銀行借り入れで賄う投資家大家さんではまったく比較対象にならないことがお分かり頂けたと思います。
またサブリース契約が果たす役割でも、飲食店のサブリースは、本当の意味で大家さんに対する賃料保証であったり、家賃の収納代行、トラブル処理など実務が中心となっているのに対し、アパートのサブリースは投資家を欺く舞台装置として利用されています。どうかこのことを一人でも多くの方にご理解いただき風評被害の早期解決に繋がればと感じています。
実は賃貸マンションの分野では大手のサブリース業者が何社も活躍しており、近年、相続税対策でマンションを建設なさる地主さんにとっては一般的な手法として確立されています。そんな中でも、1階だけが店舗仕様となっているような場合、住居部分はサブリース対象となっても店舗部分は除外されることが多く、飲食店舗のサブリースが大手でも苦戦する様子が垣間見えます。逆の言い方をすれば、飲食店のサブリース契約が出来る業者はかなり専門性が高い会社であるとの証明でもあるのです。