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居抜き店舗コラム

飲食店閉店実務 ~ 届出 と 手続き ~

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飲食店閉店実務 ~ 届出 と 手続き ~

昨年の飲食店を閉店なさりたい理由の上位は

  • リタイア(加齢による引退)
  • 体調不良(入院等)
  • 介護
  • 人材不足
  • 売上不振

このところ、親族の方の介護を理由にお店をおやめになる方が増えたように思います。同様に、人材不足でご主人が無理を続けて疲れてしまわれたという理由も増えています。ひところの売上不振での閉店の方が珍しいぐらいです。

介護や体調不良は待ったなしのケースが多く1ヶ月以内に決着したいと望まれる方ばかりです。逆にリタイア、人材不足はなんとか時間をかけながらタイミングを計ることが出来ます。売上不振は決断をするまでが長くかかる分切羽詰まってからというケースが多いように思います。

タイプこそ違いますが、お店を閉店しようと決断してから実際に閉店をして次の借手に居抜き状態で引き継ぐ場合や原状回復工事を施し大家さんに返還するまでには結構な労力が必要となります。実際に手続きを怠ったことで罰金に処せられる場合もあるようです。

今回は、思いの他数が多い飲食店を閉店する際の手続きについて整理をします。

 

何から手を付けるのか

  • リース会社との清算方法
  • 管理会社、大家さんへの解約の告知(解約届の提出)
  • 各種行政機関への届け出
  • レンタル品返還時期打合せ

リース会社との清算方法について

最初にリース会社をあげたのには訳があります。リースなど全く無いよと言う方はここを読み飛ばしてください。もしリース物品があり残債が残っているのであればよく検討してからでないと大変なことになります。

ケース1

比較的残債が少ない場合。残債を一括で支払い所有権をリース会社からご自身に移します。これで、他人に売ったり無償で残置したり、廃棄したりご自身の意思ですべてが可能となります。

ケース2

残債が多く一括で清算することが不可能な場合。交渉すれば、毎月のリース料を満額になるまで払い続けることが許される場合があるようです。

但し、リース物品の所有権はリース会社にあるので、最悪リース会社が全てを現場から引き揚げてしまいます。これは、リースを組んだ賃借人が第三者に転売しないようにするためです。従って残置をしたり居抜き店舗物件の一部として譲渡(売買)することは不可能となります。

 

リースの残債高と清算方法によって閉店すべきかどうかの分かれ道となることがあります。

 

管理会社、大家さんへの解約の告知(解約届の提出)

こちらのタイミングも大変重要です。諸事情は斟酌していただいたとしても、契約書通りにお願いしますと宣告されれば、

  • 解約を申し出た日から契約書に定めのある期間は、お店を続ける、閉店するに拘わらず家賃を払い続けなければなりません。これを解約予告期間と言います。長いもので6ヶ月、短いものでも3ヶ月は支払いを覚悟しなければなりません。もしその間に次のテナントが決まり運よく期間中に家賃がスタートすれば支払期間を短くしてくれる可能性はあります。
  • 次に原状回復義務の扱いです。これも契約書通りにお願いしますと言われると、坪当たり10万円もの費用をかけて借りた時の状態に戻さなければなりません。

居抜きで解約を考えることもあると思います。折に触れてはお話ししているように、居抜きで誰かに譲りたいと架空の話で了解を得ようとしても、大抵の管理会社さんや大家さんは経験がないので色よい返事をしてくれないと思います。

タイミングとしては、解約予告を出す前にお店を引き継ぐ方を紹介するのがベストです。あわせて、なぜお店を譲り渡すのか大家さんが納得のいくストーリーで交渉に望めば、窮状を理解してくれる確率は格段に高くなります。

 

【閉店を決意】飲食店の閉店タイミング(廃業の実態)

 

各種行政機関への届け出

  • 保健所
  • 警察署
  • 消防署
  • 税務署
  • 公共機関(電気・水道・ガス)

などが届け出を行う機関です。

保険所

飲食店舗を始める際に、食品営業許可申請を行ったはずですが、廃業届を同じ保健所に出向いて提出する必要があります。営業をしなくなった時から「10日以内」

警察署

風俗営業許可を得ている場合(スナック、キャバレー等)はお店を営業しなくなった時から、「遅滞なく」許可証の返納を所轄の生活安全課に行うよう義務づけられています。これを怠ると30万円の罰金に処せられる可能性がありますので気を付けて下さい。

もう一つ、深夜酒類提供飲食店営業の開始届を提出し、深夜営業をしていた飲食店は、その廃止から「10日以内」に届けるよう義務付けられています。

消防署

飲食店を開業する際に、「防火管理者選任届」と「防火対象設備使用開始届」を提出したと思います。防火管理者については、いつまでにという指定はないものの、廃業した日=解任日を届けることになっています。これに対し、防火対象設備使用開始届は、主に内装業者がお店のオーナーに代わって提出している場合がほとんどですが、こちらは特に使用停止届の様なものは必要ありません。

税務署

個人事業の場合、所得税の申告関して廃業届が必要・・・廃業から1ヶ月以内

消費税など課税事業者の場合、事業廃止届が必要・・・速やかに届出

青色申告の承認を受けている場合・・・青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15  日まで

公共機関

前もって、解約日(契約の最終日)を電話で告げることで完了します。稀に、次の契約者の使用開始前にむこうから確認の電話が入ることがありますが、毎月の請求書に記載されている窓口まで忘れずに連絡してください。これを忘れるといつまでも請求がきます。

 

レンタル品返還時期打合せ

飲食店を閉店する際に意外と忘れられるのがこのレンタル品の返還です。

ビールサーバー、おしぼりウォーマー、BGMの音響設備、グリスフィルター、玄関マットなどが一般的です。毎月、月末支払いで請求書が来ているはずです。そこにある連絡先に電話を入れ、閉店後引き取りに来てもらう日を決めましょう。

ここで言う事業を辞めようと思った時点とは、実際にお店が営業しなくなった時点を指すもので、賃貸借の契約期間満了の日ではないので気を付けてください。

 

今回整理したのは、閉店、廃業に伴う届出に関するものです。もちろん食材や酒卸などの取引先への通知も余裕をもって伝えるべきです。その告知により支払いに関して締日が変更になることもあるようですからよく打ち合わせて下さい。

また、常連客、予約客、ボトルなどを預けているお客様への告知も少なくとも1ヶ月以上の余裕をもってお知らせるべきでしょう。

以前、閉店した店舗の整理をしておりましたところ自分のボトルを探しに来たと言う常連さんにお会いしたことがあります。お客様からすれば、お気に入りの場所だったに違いありません。是非飛ぶ鳥は綺麗な旅立ちをお願い致します。

 

飲食店閉店 店舗明渡しの注意点