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【閉店を決意】飲食店の閉店タイミング(廃業の実態)
「閉店を考えているのですが」お電話で相談を受けることがあります。時には名前も住所も伺わずに長電話になることもあります。ご家族にも相談されずにお一人で悩んでいらっしゃることが多く話終えると何か荷物を下ろしたかのように声のトーンが明るくなるケースがほとんどです。毎回感じることですが、世の中に飲食店を開業する為のコンサルタントは大勢いらっしゃるのに、開店してから上手く軌道に乗れないで悩んでいらっしゃる方や実際に閉店をお決めになった方を対象にしたコンサルタントが少ないように思います。なぜでしょうか。
多分ですが、開業前のコンサルティングは夢や希望を売る商売に対して、業績不振や閉店のコンサルティングは実利、つまり成果を上げないと成り立たないのでコンサルの手腕が問われることになります。この違いは大きいですね。
今回のブログは、これから飲食店を始めようと準備をなさっている方にも読んで頂きたい内容です。自分は関係ないと思わず一度目を通してください、きっと役に立つ場面があると思います。
気力、体力の切れ目
一言で言い表すと「どうにかしよう」と考えられなくなった時の事です。お金を掛けてオープンさせたお店。金融公庫や銀行からの借入が残っているかもしれません、友人や親族からの応援や借り入れもあるかもしれません。当然ながら簡単に辞める訳にはいきません。なんとかしようと人は考えるのですが、病気を患っている体ではなかなかいいアイデアも浮かばないものです。逆に病は気からというように思い悩むうちに体調を崩されるかたも多くいらっしゃいます。この状況でなんとかなる、頑張ろうとはなかなか言えません。
何れ閉店となるのですがこのケースで多いのが限界まで頑張られて突然廃業されるケースです。こうなるとご本人もさることながら周りの方に迷惑が及びます。開業をするにも3ヶ月から半年ほどの準備期間が最低でもかかるように閉店、廃業にも少なくとも3ヶ月、解約予告期間があるのならその期間までは必要になることを覚えておいてください。
閉店・廃業準備期間とは
この期間は明渡しの方法によって時間軸が変わってきます。つまり、居抜きのままで明渡しが出来る場合と原状回復工事を行って明渡しをする場合です。
最初に確認したいのが解約予告期間の長さです。居抜きであれ原状回復であれ契約書にかかれている解約予告期間は原則家賃を払い続ける義務があります。ですから今月で店を閉めて廃業しますといってもその期間は家賃を払い続ける必要があります。実はこのことを忘れている方が非常に多くて契約を締結したご本人やご家族が不動産会社に手続きの確認や解約届を出しに行った際に気が付くというのがほとんどです。これによって全てのスケジュールが変わってきます。
居抜きで閉店、廃業する場合
どの賃貸借契約書にも最初から居抜きのままで契約を終了させてもいいとは書いていません。
民法第616条,第598条で
「借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる」と定めています。
つまり、借りたものは元の状態にして返しなさい、自分で取り付けた物は外して持って行っていいですよということです。
居抜きの状態で明渡しをするには契約内容の変更になりますから貸主である大家さんの了解が必要となります。実はこれが意外と高いハードルなのです。不動産をお借りしてからの大家さんとの付き合いにもよりますが、二つ返事でいいですよとはいきません。ましてや次に借りる方が見つからないうちに相談に伺ってもかなりの確率で「NO」と言われることでしょう。どうしてお店を辞めて廃業することになったのか、次の方が何をおやりになるのかちゃんとしたストーリーがないとお分かりいただけないケースが大半です。ここで大家さんの了解が得られない場合は、原状回復工事をしなければなりません。軽い気持ちで大家さんと話をしたがために大変なことになりかねません、よくストーリーを練ってから話した方が無難です。
さて、仮に居抜きでの解約が可能な場合でも次の方が決まっていて家賃の切れ目がないことでOKしてくれる大家さんがほとんどですから、友人や同業、飲食店の居抜き物件を得意とする不動産会社に次に借りてくれる方を探す依頼をするところから始めなければいけません。
どんなに上手くいっても最短で1ヶ月は見つかるまでに時間がかかります。これが店舗物件をあまり扱ったことのない不動産会社だと数ヶ月かかることもザラにあります。不動産会社選びは年間どのぐらい居抜き店舗を扱っているのか最初に聞いた方がいいでしょう。
運よく次の方が見つかってもすぐにお店を始められる訳ではありません。とは言えあまり長く時間がかかるのも大変です。引き渡しまでの時間で、半月以上時間があるようなら翌月から引き継いでもらえる可能性がありますが、半月を切っているようなら翌々月からの引き継ぎというケースがほとんどです。
原状回復工事で閉店、廃業する場合
この原状回復工事はどのタイミングでやるのかという質問をよく受けます。原則で言えば、契約期間内で済ませるのが決まりになっています。仮に解約予告期間がまだ3ヶ月も残っていても工事をする分にはOKです。但し、お店の内装造作が無くなっても家賃を解約予告期間中は払い続けなければなりません。この選択については二つの考え方があります。
解約予告期間いっぱい営業する方法とすぐに原状回復工事を行って次の人が借りてくれるのを待つ方法です。もし場所がよくて飲食でも物販でも店舗として引き合いがありそうな場所なら後者を選んだ方が家賃負担が少なくて済みます。そうでなければ解約予告期間から原状回復工事にかかる日数を除いた日まで営業をして明け渡すことで空家賃を払わずに済みます。
解約予告期間と原状回復工事がセットで求められると突発的な事態でお店を辞めざるを得ない場合など大変な費用がかかることも考えられます。状況次第では直接大家さんに相談してみるのもいいかもしれません。というのも大家さんから委託を受けて不動産を管理している管理会社の中には面倒な依頼は大家さんに相談なく断る会社があって、大家さんに直接相談をしてみたら案外便宜を図ってくれたという話は枚挙にいとまがないからです。
常連さんへの告知
突然お店を閉店、廃業しなければならなくなった場合を除きいつも来てくれていたお客さへの告知が必要です。宴会や予約が入っているのであれば尚更です。また、お店によってはお客様のお酒をボトルで預かっているサービスがあると思いますが、飲みに来て頂くかボトルごとお渡しする方法しかありません。もっとも、いちいち連絡先まで伺っていないケースが殆どかと思います。たぶんお近くに勤め先があるかお住まいになっている皆さんだと想像できますので、お店の玄関先など目につきやすい場所に閉店の告知を出しましょう。できれば1ヶ月前から遅くとも閉店の2週間前までには告知したいものです。
よく閉店、廃業される方が多いのは2月か8月ですかと質問を受けます。結果から申し上げるとあまり関係はありません。逆の言い方をすると12月に閉店、廃業をされる方はほとんどいません。つまり12月を除く各月ではあまり差がないということです。強いて言えば年度末の3月は人事異動や卒業式など人が集まりやすい環境にあります。だからと言ってお店を辞める方が少ないかと言えばそうでもないようです。それを考え合わせると営業不振でお辞めになる方も病気や介護などその他の理由による閉店、廃業も随分と多いのではないかと思うのです。
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