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繁盛する飲食店、閉店する飲食店を分ける4つのポイント
繁盛する飲食店、閉店してしまう飲食店、その分かれ道はどこなのでしょうか…
「この前オープンした新しい飲食店、全然人が入っていなかったけど大丈夫か?」
「いつも通るあのお店、狭くてあまりきれいじゃないのにいつも並んでいるけれどなぜなんだろう?」
人によって差はあるものの一度は疑問に思ったことがあるはずです。
昨今の居酒屋低価格競争をみて思うことですが、1品どれも300円なのに人がまばらな店があったかと思えば、一串300円以下の焼き鳥屋は大盛況だったりします。
飲食店の繁盛を生み出すメカニズムが解れば苦労はしないと言われる飲食業界で、
今回は4つの視点をもとに繁盛店の思考と閉店に至るお店が同様の視点に対しどのように向き合っているのか対比をさせて考えて見たいと思います。
1.繁盛する要因探しVS儲からない原因探し
「お店が儲かる・儲からない」似た様な表現に思えますが発想は真逆です。
どちらのお店がどちらの発想でお店造りに望んでいるのでしょうか。
- 繁盛店を作る飲食店経営者は繁盛する要因探しをします
- 閉店する飲食店経営者は儲からない原因探しを一生懸命考えます
さてどこに違いがあるのでしょうか。
閉店する飲食店経営者
儲からない原因探しをする経営者の傾向にあります。
何か1つか2つの問題点を解決することでお店の経営が好転すると考えています。
それ故解決すべき問題が見つかるまで悶々と悩み時間をかけてしまいます。
繁盛店を作る飲食店経営者
繁盛する要因探しをするいわば環境造りのようなもので、気づいたことを次々と改善して行き、改善したどの部分が良かったというよりもトータルで繁盛店になっていたという違いがあります。
この比較では、飲食店経営を点で考えるのではなく面で考える思考が繁盛店を造ると考えて間違いないでしょう。
2.ランチは価格勝負で行列にVSランチはやめて夜で稼ぐ
この2つは単にランチをやるやらないという選択ではありません。
お店のブランディングにかかわる選択です。仮に周辺のランチが平均して650円程度のところを500円のワンコインで勝負したとしましょう。間違いなくお店にはお客様が来店されるハズです。
リピーターとなるお客様からはランチの安いお店としてインプットされることでしょう。これに対しランチの為に早い時間から仕込みをしたり、短時間とは言えランチ時の体力消耗を敢えて避け夜の営業に集中する選択はどちらが繁盛店につながるのでしょうか。
先ず価格でランチに打って出た場合、価格の安いお店として一度認知されると、夜の客単価を上げづらくなります。
夜も昼同様の価格を期待するからです。これに対し夜のみの営業を選択した飲食店は、ランチでの利益分を営業時間の延長や利益率の高い料理、もう一杯の追加オーダーで取り返すと言います。
業態や街の特徴にもよりますが、発想としては売り上げはあっても利益が出ないランチを選ぶか、夜の客単価アップの為の工夫をするのかという発想の違いであってランチをやるべきではないということではありません。
発想を変える、価格競争に突入するよりも今まで通りの価格帯で営業する代わりに、ワンコインのお弁当を売り出すといった工夫や通勤時間帯にお弁当やモーニングBOXを売る発想の転換こそが繁盛店に求められるポイントだとご理解下さい。
3.あなたのお店、なぜ人が来るのか知ってますか
この質問に対してどのような答えが出せるかが分かれ道です。
古くからこの場所でお店を開いているから常連さんが来てくれる。
「ウチには一品だけだけどよく売れる料理があってそれを目当てに来てくれる。」
かと思えば、
「よくわからないけど場所がいいからかな?」
「近くに大きい企業が入っているからかな?」
数多くの回答が返って来そうです。
ではなぜお客様が来店される理由が大事かというと、もしお客様が今よりも減って売上が落ちた時にどう対応して良いのか、何を改善すべきなのか手が打てないからです。
もう少し詳しく見てみましょう。
例えば常連さんというのであれば、常連さんも歳をとり退職されてゆきます。
新しい顧客を開拓する努力が必要です。近くに大きい企業が入っているというのも同様です。オフィスの移転と共にあっさりいなくなる可能性があります。
また、自慢の一品はいつまでも人気があるものではありません。何れ飽きられてしまいます。その日までに別の主力商品を育てることに腐心すればお店は長続きします。
最悪なのは場所がいいからかなとお応えになった方です。場所にあぐらをかいていると客足が落ちた時に手も足も出ません。早晩お店を閉めることになります。
4.利益を出す為に原価を下げる工夫VS原価率を上げてでも集客力で利益を出す工夫
繁盛店を造る発想は間違いなく後者です。俗にいう看板メニューを造る発想です。
原価率の高い高付加価値メニューがお客様を呼びます。
後は、他のメニューの原価率バランスをみて全体として原価率が3割程度に収まるよう造り込めばよいのです。
これに対し、客数が増えないのであれば原価率を下げて利益を確保しようという発想は飲食店にとって自殺行為です。
一時はそれでも利益が出るかもしれませんが味が落ちた、見栄えが落ちたと感じたお客様は二度と来店してくれません。
そればかりか悪い口コミが広がり結局は店を閉じることになります。
味の記憶というものは意外とあいまいだそうです。
人は味に対する記憶を思い出すのが下手な生き物だと言われています。
そのくせ、あそこは美味い、あそこはマズイと言いたがる生き物でもあります。
ではこの厄介な性質にどう対処すればいいのでしょうか。
今回繁盛と閉店という異なるアプローチで同じポイントとなる部分を比較した結果、飲食業が食べるという単なるモノ消費ではなく、食べる以外にお店から提供される空間の居心地や店員のホスピタリティーすべてが相まって味の記憶を決定つけているのではないかと考えるのです。
となれば、それはコト消費に近い感覚です。
以前に増してホスピタリティーやクリンリネスの重要性が叫ばれる飲食業界で繁盛の決め手はこのコト消費をいかに演出できるお店であるかにかかっていると言えるでしょう。