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居抜き店舗コラム

飲食店の閉店 3つの実例に見る 潰れる理由は「人」

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飲食店の閉店 3つの実例に見る 潰れる理由は「人」

 

2017年に日本商工会議所が行った人材不足に関するアンケートによると、
6割を超える企業が「不足している」と答え、「不足はない」の3割を大きく上回りました。

「人手不足等への対応に関する調査」集計結果について – 日本商工会議所 

 

なかでも「宿泊・飲食業」業界は深刻で8割を超える企業が人材不足に喘いでいるという結果が出ています。また、その求める人物像についても特徴が表れており、「中堅層、専門家」など即戦力を欲している企業が6割を超えています。

 

最大の悩みを聞かれると、6割の人が募集をしても応募が無いことをあげ、広告費用ばかりがかさむ現実が明らかになっています。

 

ここ最近寄せられる飲食店の閉店に関する相談で「人」が問題となった3つの実例を考えて見たいと思います。

 

1.新宿区の中華料理店が「開店前」に閉店

2017年2月、コマ劇場にほど近い場所で1件の飲食店物件が募集に出されました。予てよりこの場所でインバウンドを見込んだ中華料理店をオープンさせたいと計画していたNさんは迷わず申込を入れ物件を手にすることが出来ました。

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準備をしていたとはいえ物件は急に現われ1週間もしないうちに契約となった為人の手配が急務となります。幸い物件はスケルトンからの工事ということもあり1ヶ月程の工事期間があります。その間に中国からシェフを呼び寄せ早速スタートとなるはずでした。2つの誤算が生じたのは工事が後半にさしかかる頃です。

 

最初の誤算:資金

パートナーの資金不足です。工事費を全額負担する約束になっていたNさんのパートナーCさんは、中国本国からの送金が規制されており思うように資金を移動できなくなっていました。その為急きょNさんが資金を用立てることになったそうです。

 

二番目の誤算:シェフ

来日するはずだったシェフの存在です。日本でお店が見つかればすぐに来日する約束をしていたのですが、いつその時が訪れるのか分からないまま本国で働かないで待っている訳にもいかない為、とある中華料理店に就職していたそのシェフは、折からの高級レストランブームで人材不足とも言われている中国で非常に高い処遇を受けたそうです。その為来日する約束は反故にされ、シェフが不在のままお店はオープンの日を迎えることになったのです。

開店できない閉店したままの飲食店

もともと来日予定だったシェフだからこそ出せる味のお店としてメニューを考えていた為代わりのシェフという訳にはいかず間に合わせの人材で2ヶ月程お店を続けたそうですが、売上も上がらずNさんは閉店することを視野に入れ相談をしてこられたのです。

現在もお店は閉店したまま家賃だけが出て行く日々を送られています。

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2.杉並区 和風バルが「繁盛店」なのに閉店

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フランチャイズ契約を結びスタートしたその飲食店は、立地にも恵まれ毎日盛況な日々を送っていました。しかしご主人Yさんを悩ませる問題が1つあります。人材不足です。

繁盛店である飲食店の誤算

こちらのお店は駅からほど近い場所にあり和風の甘味なども出す昼は和風カフェとして営業し夜は和風のバルとして営業されています。

店内も30席程あり最低でもホールは2人体制でないとさばき切れないサイズです。

フランチャイズだけにいろいろとマニュアル化されてはいるものの、人の手配まではしてくれないようです。

求人雑誌に広告は出すものの応募が全くなかったといいます。アルバイトが来ればお店はなんとか切り盛りできると考えていたYさん、その考えがあまかったことを痛感することとなります。

飲食店で働く側が働かせる側になっての誤算

これまで飲食店で働くことはあっても人に指示をして働かせるという立場にいなかったためどのように指導していいのか分からずつい厳しく接してしまうことがあったそうです。

当然ですが、やっと来てくれたアルバイトはすぐ辞めてしまいまた新しいアルバイトに仕事をイチから教えなければなりません。

飲食店で大切なのは人材

そして分かったのが、一定規模以上の飲食店は、料理が美味しいだけではやっていけない、ちゃんと客席と調理場の間を取り仕切ってくれる仕事の分かる人材が必用なのだということを。

お客様が来られる繁盛店での思わぬ閉店理由を聞くことになったのでした。

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3.豊島区 英国キッチンが「人気で大盛況」なのに閉店

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オープンして5年程になるイギリスの一般家庭で食べられている料理を忠実に再現したそのお店は、ご夫婦で経営して来られました。

通りから一本入った佇まいはわずかにユニオンジャックの国旗が掲げてあるぐらいで、みたところ喫茶店にしか見えないのですが、大使館の職員や大手のデパートからも注文が来るほどの盛況ぶりでいずれはさらに大きな店舗に引っ越したいと考えていたそうです。

病気は突然訪れる

ところが、問題が起きます。主に料理を作られるイギリス人のご主人が病にかかり本国で治療することになったのです。

さて、残された奥様はお店の閉店を決意され現在大急ぎで整理を始めている最中とのことです。お話を伺う中で、どなたか信頼の出来る方に一旦お店を任してみてはどうかと提案をしたのですが、味を落とすことが出来ないという理由とご主人の容態からすぐに日本へ戻ることは難しいと判断をしたからだそうです。

体調を崩し飲食店を閉店しなければならない時

繁盛店、いい飲食店、儲かる飲食店だけでは継続できない

突然の病気、繁盛店であるこの飲食店に対して奥様は苦労してここまでお店を育てきました。
さあこれからという時だっただけに非常に落胆しておられました。

 

飲食店の閉店 理由は「人」という現実を知る

労働力調査における2002年から2016年のパートとアルバイトの人数(年平均)の推移を見ると、パートの人数は2016年平均で988万人、2002年平均が718万人です。対02年比で40%弱の伸び率を示しています。

一方、アルバイトの人数は2016年平均で415万人。2002年平均が336万人です。対02年比で24%の伸び率です。いずれも増加していますが、パートの伸びがアルバイトを大きく上回っているのが解ります。

働き方が変化して来たとはいえ、時短や自分の都合にマッチする働き方が今後も増えていきそうな予感がします。冒頭に書きました飲食業界の人手不足感は今後も続きそうです。

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