Contents
飲食店閉店 売却譲渡の募集中に起こる事例
飲食店を開業した当時は、お店を繁盛させる、有名店になる、チェーン展開する、地域に根差した長く営業できる店舗を造る、などなど皆さん夢をもって開業されたことと思います。事実、弊社が賃貸や仲介している物件に申込みを入れてくださるお客様も事業計画等を立て明るい未来を見据えています。もちろんですが、開店前からを閉店することを計画する方はいません。
もし失敗したらどうしよう?まさか自分に限ってそんなことは、と思う期待と不安が錯綜する思いはありながらも、真剣に考えることなどないものです。それ故いざ閉店となった時どうしたら良いのか分からず、頭が真っ白になるのも無理からぬことでしょう。
今回は、閉店を決意し、居抜き店舗として譲渡先の募集を開始した後に起こるある事例を紹介していきたいと思います。
不思議と増える「いちげんさん」のなぜ
まずはじめに、募集を開始した直後からある現象が始まります。今迄常連さんばかりのお店だったはずが、急に「いちげんさん」が増加するのです。あきらかに店主の趣味嗜好に合わない場違い感のあるお客が来店してきます。彼らは店内を物色するかのように眺めまわします。同様に、そわそわ、よそよそしい態度にオーダーも少なく早めに帰る客なども増えます。この人達は、募集情報を見た方々で、興味を持ち事前に物件を確認しに来られた人たちだと思われます。お店が賑わっている状況が伝われば、早期売却が期待できることでしょう。
急激なWEBサイトのアクセス数UP
これまでさほど力を入れてこなかったお店のブログ。更新はメニュー変更に休日の案内程度に使用していたWEBサイトのアクセスが急激に上昇することがあります。理由は分かりやすく、居抜き店舗として売却譲渡の募集を開始した直後などが顕著です。このような話を聞いた弊社スタッフが試しに、ある飲食店舗をインターネット上で居抜き物件として公開したところ、その翌日からアクセスが上昇したと店主から連絡を受けました。サイト自体は特別な変更をしたわけではないのでお店の営業状況を確認したくアクセスしてきたと予想できます。
従業員未通知なのに、アルバイトへ引き渡し時期を聞いてくる客
ここからは、先ほどの様なお店に直接的な実害の無い話とは違います。居抜き店舗として譲渡先の募集を開始するにあたっての、心構えとして知っておくべき事をまとめておきます。
インターネット上でお店の譲渡先を募集するということは不特定多数へ向けて情報公開することを意味します。当然、そこにはメリットとデメリットが発生します。情報公開することにより、広く瞬く間に情報が行き渡り、早期に買い手が見つかるメリットと、情報が独り歩きしてしまい、知られたくなかった人達にまで情報が行き届いてしまうデメリットの両方があります。
例えば、閉店する事をなにも知らせていないアルバイトをつかまえて、「この店なんで閉店するんだっけ?」「いつ引き渡しできるの?」などの質問を浴びせる方がごくまれにいるようです。本来売却譲渡の公開時の条件として従業員などに売却や閉店を知らせていないケースは情報の受け手が承知の上で物件を見るという約束があるにも拘わらずです。稀にあるとはいえその話を聞いたアルバイトが早々に辞めてしまったとすれば経営の継続に関わることにもなりかねない怖い話です。
営業中の店内で突然内装会社と打合せをはじめる4人グループ
事前に店舗内の見学予約もせず、営業中に数人のグループが来店してきて、スケール片手にテーブルの長さ、椅子の高さ、天井の高さなどを計りだしたそうです。平面図をテーブルいっぱいに広げて、ここには○○を配置しよう、4人掛けを止めて6人掛けにすれば良いのではないか?、この椅子は座り心地が悪いからベンチシートに変更しよう、などと店舗の改装について、話し合いを始めたというのです。世の中には非常識極まる人が存在するようです。もっとも売主から委託を受けた不動産会社に問題があることも否めません。
仕込み中のアイドルタイムにスーツ姿の不動産会社
最後に気を付けて頂きたい不動産会社への対応です。
居抜き店舗として売却譲渡の募集を頼んでいない不動産会社の人間が突然お店にやってきて、「募集広告を拝見しました。自分達の会社でも取り扱いさせてください。」と切り出すというものです。なかなか譲渡先が決まらなく困っているような場合、渡りに船とあって突然の話でも頼って見たくなるものです。
ところが、事態は逆の方向に進みます。その不動産会社の人間は、そのまま大家さんのもとへ直接訪問することが往々にしてあります。業界でいうところの「抜く」という行為です。彼らは大家さんに店主に話したように、自分達の会社で取り扱いさせて下さいと説得を始めます。
この場合大家さんは、面倒なことに巻き込まれるのも嫌なので、やっぱり契約書通り原状回復工事をして物件を返して下さいとなるケースが大半です。このようなことにならないよう最初にお願いをした不動産会社にその旨を伝え、もし力不足だと感じるようなら改めて別の不動産会社をご自身で探された方がよいでしょう。