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居抜き店舗コラム

飲食店のトラブルで発生する工事「見積・支払」はどちらの責任?その疑問に答えます

飲食店-見積-工事
whitesession / Pixabay

 

オフィスビルを賃借した場合やショッピングセンターの一角を賃借する場合は、内装、設備工事の施工にあたって指定業者といって大家さんの指定する工事業者に発注しなければならないことがあります。大抵は入居する際の契約書にその旨が書かれています。

小型の店舗を飲食店としてお借りする際も工事内容によっては大家さんの指定業者を使うよう指示がある場合があります。ただ、大型ビルなどと違いそのあたりの取り決めがハッキリと決まっていないことが多く借主であるテナントが戸惑うことがあります。

今回のコラムでは、大家さんの指定となる工事内容、大家さんが工事許可を出す場合やご自身で発注をする場合どのような考え方で望めばいいのか実例を交えて整理します。

賃貸借物件に必ずある工事区分の説明

一般的に賃貸借物件の工事は3つに区分けされています。呼び名が決まっています。

  1. 大家さんの費用でかつ大家さんの業者で行う工事 = A工事
  2. テナントの費用負担で大家さんの業者で行う工事 = B工事
  3. テナントの費用負担でテナントの業者で行う工事 = C工事

以下でそれぞれどのような工事が該当するのか簡単に見てみましょう。

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A 工 事

  • 壁や天井からの雨漏れ工事
  • 建物側の受電設備から室内の配電盤までの電気設備工事
  • ガスや水道工事のうち室内の立上り(プラグ止め)前までの工事

代表的な工事ですが、飲食店として貸すために必要な設備で大家さん側の財産である設備に関わる工事を言います。

B 工 事

電気配線・ガス管・水道管・消防設備など本来大家さんのA工事区分であるもののうち、テナントの都合により容量アップをする工事や位置を変更する工事などを指します。

テナントの要望ですから費用はテナント負担というのは分りますが、なぜ大家さんの業者指定になるのでしょうか?

これには建物を所有する大家さんと工事業者との関係がカギとなります。工事を申し出たテナントはいずれ退去することとなります。もしテナントが連れて来た一見の工事業者が手抜き工事をした場合後で取り返しのつかない事故やトラブルに発展する可能性があり、その責任を問えなくなる恐れがあります。その為長く建物の価値を守る為には工事保証(不具合が後に見つかった場合、無償で追加工事をしてくれる)がつけられる工事業者の方が安心という理由です。

C 工 事

建築工事、電気・空調などの設備工事などテナントが自らレイアウトを行い行う工事のことで、完成後はテナントの財産となる部分の工事をいいます。だからと言って退去時に原状回復工事もテナントが勝手に発注して良いのかと言うと別の話になります。その件は後程説明します。

A・B工事見積をテナントにまかせてはいけない

A工事やB工事を例えばC工事業者がついでにやりますというものがあります。大家さんも面倒なので一緒でお願いしますというケースがなかにはあります。長い目で見ればこれは避けた方が無難です。

仮に手抜き工事でなかったとしても安い部材を使用していたり本来のルートを外れてショートカットしてしまったり、勝手にスリーブ(梁や壁に配管、配線用の穴をあけること)が開けられていたりと内装が出来上がると隠れてしまう部分ばかりですから問題が長年発覚せずに温存されてしまいます。こうなると問題発覚後手直し工事をしようとしても配線の位置が分からなくなってしまったり、雨水や漏水の原因を作ってしまうこととなるのです。

また費用の面でも、公平さを欠くことがあります。見積額を膨らませることで大家さんが必要以上に負担することもあります。ここは大家さんが必ず御自身で見積をとり、発注をしてください。

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トラブル時の工事見積も必ず大家さんで取りましょう。

前段では、主に工事区分に関する考え方を説明いたしました。次に考えるのはトラブルが起きた際の見積・改善工事関係です。

飲食店に限らず、事業用の店舗はトラブルが付きものです。それが、経年劣化による大家さん負担なのか、テナントが工事をしたことにより引き起こされたものなのか調査をしてみないと分からないことが多々あります。飲食店舗においては、ネズミなど害獣被害の場合その侵入経路によって大家さんとテナントどちらが費用を負担すべきか分かれてきます。以下で実例を交えて説明します。

実 例 ①

地下にある飲食店から、天井を貫通している排水管から水漏れが起きているとクレームが出ました。水漏れと言っても不定期で毎日ではなかったので大家さんは一旦様子を見る判断をしたのですが、水漏れの心配な地下のテナントは独自に調査を依頼しました。

その結果、排水管(大家さんの所有物)が原因という調査報告が上がってきました。その報告書を見た大家さんは御自身で調査をしたところ、1階の飲食店のトイレの雑排水管の工事不具合で一部染み出していることが分かり1階テナントの負担で大家さんの工事業者が施工をした事例がありました。

実 例 ②

ネズミの浸入によりケーブルがかじられ冷凍冷蔵庫が停電してしまい食材がダメになった被害が発生しました。当初テナントが業者に調査を依頼し、建物外壁のクラック(ひび割れ)部分から侵入したと調査結果が出ました。この報告書にもとづき工事見積をとった大家さんは、あまりにも補修工事にお金がかかることから今度は大家さんご自身で再調査を発注したのです。その結果は、建物の外壁に沿って置いてあるテナント所有の大型ストッカーとの隙間に雨水が溜まったことで壁が腐食し穴が開いたことで侵入したのではないかとの結果が出たのです。

クレームの場合、調査となるとお金がかかる分大家さんの腰が引けてしまうことが多いのですが、2件の事例を見るまでもなく2度手間ということがほとんどです。何故なら、テナントが見積を手配した業者は当然テナントに有利なコメントを作成するからです。

この解決方法はこうです。

調査はあくまでも大家さんの手配とコストで行い、テナントに非があった場合は調査費も含めB工事で行い、大家さん側に問題があれば全額大家さん負担というような条文を契約書に盛り込んでおくことです。

原状回復工事の見積・施行について注意点

原状回復工事の対象は先程書きましたようにテナントの所有部分です。その理屈で言えばC工事でいいのではとなるのですが、撤退をするテナントとしては原状回復工事代を1円でも安く済ませたいと考えるのが通常です。

見えないところの配線、配管の撤去や防水層のはつり工事など適当に済ませてしまいます。そればかりか躯体やスラブ(床)などに穴が開いたままなど、次のテナントに貸せる状態に戻らないことすらあります。原状とは何かを議論するよりも、最初から契約書に明記するか、見積を提示しB工事としてやって頂くよう説得することをお薦めします。

大家さんにとって大切な財産である賃貸物件。出来るだけ長持ちをさせ途中のトラブルを無くしたいものです。それには、いつも決まった施工業者を利用することで、施工やトラブルのアーカイブ(記録)が蓄積されてゆき何か問題があってもすぐに対策を建てることが出来ます。そういう意味でも見積、施工は大家さん主導で行った方が安心です。

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