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居抜き店舗コラム

飲食店の【 定期借家契約 】再契約不可の時に確認すべき事項がある

 

飲食店-定期借家契約
Photo by assorti

 

 

その昔不動産には、「地震売買」と呼ばれる物騒な取引が存在していました。

例えば、アパートを持っている大家さんが何かの理由でそのアポートを売却しなければならなくなったとしましょう。当時は、そのアパートを買った人は、前所有者が入居させた賃借人を引き継がなくてよいとされていましたので、無条件に住居を追われたのです。このことを地震売買と呼んだのですが、そう地震で地面が動いて人がびっくりして家から飛び出す様に例えらのです。

その後、生活の基盤を守るために借地借家法が整備され、住む人の権利が保護されるようになり、以前のように大家さんが変わっても建物から追い出されることは無くなりました。実はこのことが後々問題を生み、「定期借家契約」の策定に繋がるのです。

 

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2種類の借家契約「普通」と「定期」の違い

そもそも建物を目的物とする賃貸借契約を建物賃貸借契約、すなわち借家契約と呼びます。

この借家契約がさらに2つに分けられます。

  1. 普通借家契約 ・・・借地借家法26条の借家契約
  2. 定期借家契約 ・・・借地借家法38条の借家契約

この違いを簡単に言うと、普通借家契約は「契約の更新」を基本とする借家契約で、一方 定期借家契約は契約の更新がなく、「期間終了により終了する」借家契約となります。

これはどういうことかと言いますと、飲食店舗の賃貸借契約のほとんどは普通借家契約です。一般的に、賃貸借期間が2年~3年で期間満了後、更新契約を行いさらに期間を延長するというものです。

これに対し、 定期借家契約には更新がありません。予め決められた期間が満了した時点で契約は終了となります。もしその後も建物の賃貸借を続けたいなら「再契約」を結ぶことになります。この再契約とはいうもは、更新契約が継続契約であるのに対し、全く別の契約ととらえられています。ですから、賃料その他の条件は全て一からの交渉となります。

 

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普通借家契約の最大ネック「正当事由制度」とは

聞きなれない言葉だと思います。これこそが冒頭に書きました普通借家契約の最大のネックとなる部分です。

建物を借りているテナントからは、途中解約条項により、3ヶ月前予告とか6ヶ月前予告だとか予め決められた期間前に、書面で大家さんに解約を申し出れば契約を終了させることが可能です。逆に大家さんの方から契約書終了させようと思った時が大変です。

一応賃貸借契約書には、テナントと同じように○○ヶ月前に申し出れば契約を終わらせることが出来ると書いてはありますが、実際にはそうはいきません。正式には、借地借家法28条によるとこう書かれています。

賃貸人(大家さん)が「期間満了」に基づき普通借家契約を終了させようとする場合には、賃貸人から賃借人に対して、所定の時期(期間満了の1年前から6ヶ月前)に更新拒絶の通知する必要があります。さらに、その更新拒絶通知には、「正当な事由」があると認められる場合でなければすることが出来ない、その事由を正当事由と呼ぶ

ではこの正当事由とはなにか。

裁判所が判断する際に考慮されている事由としては、

  • 建物の使用を必要とする事情
  • 建物の現況
  • 財産上の給付(立退料等)の申出

これらを総合的に判断して、最終的に判断をしているようです。

もう少しこなれた表現をすると、賃借人である大家さんがその建物にどうしても住まなければならない事情があるとか、どうしてもそこで商売をしなければいけない事情があるだとか、建物が著しく老朽化して使用するのが危険な状況だとかがそれにあたります。この理由が認められないと後は「立退料」、つまりお金で解決となります。

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定期借家契約のメリット

普通借家契約を見ると、大家さんの方が一方的に不利に見えてきます。ここが借地借家法の悪法と言われる所以です。その結果、だれも建物を貸さなくなるのではないかとの危機感から定期借家契約が生まれたのです。

  • 更新がなく期間満了により確定的に契約が終了する
  • 正当事由制度の適用がなく、立退料も生じない
  • 法定更新がない(期間が満了する際に更新拒絶をしなかった為に結果更新と認められる契約)
  • 期間を1年未満とする契約も有効に締結できる
  • 契約期間中の賃料増減額請求権を排除できる(賃料を固定することが出来るというもの)

定期借家契約で建物を借りている借家人の心配として、「再契約出来るのか」という質問が一番多いのですが、大家さんが 定期借家契約 を望む背景を考えれば自ずと答えが出てきます。

  • 建て替えを望んでいる
  • 売却を考えている、
  • トラブルが発生した時にテナントを入れ替えられる

いろいろな理由が考えられます。

例えば取り壊し前提であっても、数年後の経済事情がどうなっているかはわかりません。再契約を特約に入れることをお願いするよりも、大家さんが再契約をする場合は「最優先に交渉する権利」をお願いするのが一番の解決策なのです。

そういう意味では、賃貸人と賃借人のいい意味での緊張関係があって結果良好に機能するのではないかと思います。

定期借家契約で契約終了と通告された場合

契約書のタイトルは定期借家契約書と書いてありますが、たぶん更新できますよ、と問題を先送りして契約をさせようとする不動産会社がたまに存在します。

そんな憶測でものをいう不動産会社とは関わらないようにしましょう。後で必ずトラブルになります。

また、あらためて契約書を見直してみて標題に定期借家契約書と書いてありびっくりしたという方も中にはいらっしゃるでしょう。もしその様な方がいらっしゃったとすると、契約書とは別に「 定期借家契約説明書」という書類が存在しているか確認してください。もし、この書類が存在しないかもしくは記名捺印をしていなければ、定期借家契約は成立していないことになります。

仮にあったとしても、賃貸借契約書の本文とこの説明書が一体製本となっている場合も判例では無効(定期借家契約とは認められない)です。 定期借家契約を望む方もそうでない方も今一度現在の書類を見直してみてはいかがでしょうか?

定期借家契約 を終了させる場合も手続きが必要です。もし大家さんがなにもしなければ終了とならないのです。必ず期間満了の1年前から6ヶ月前までに、「終了予告通知」を大家さんから出さなければならないと規定されています。このようにいろいろな書類と手続きを経ないと、 定期借家契約は終わりとはなりません。

もしこれらの書類や手続きに不備があった場合、この契約がそもそも定期借家契約とは認められず普通借家契約と認定されることとなります。

定期借家契約でありながら不動産会社の無責任な「更新可能」の一言を信じたが為に契約終了の不利益を被ることとなった場合は、その点について不動産会社、管理会社、大家さんと交渉して再契約の承諾を取り付けることも十分可能です。

 

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