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飲食店の閉店には思ったより費用がかかる
先日、飲食店を開業されて30年というベテランシェフにお会いしました。このところの悩みは、閉店しようと準備を始めたところ、撤退費用が思いのほか高いことに気づいたことだそうです。これまで一生懸命働いてきたのに退職金どころか、お金が出て行くことが割り切れない思いでいるようです。賃貸で飲食店を経営されている方ならどなたも閉店の際に直面するお悩みでしょう。今回は飲食店の閉店時にかかる費用についてこれまで店サポでご紹介した記事とあわせてお読み頂ければ幸いです。
飲食店の閉店費用 : 原状回復工事をして解約する費用
賃借面積が概ね15坪前後で賃料が月額20万円、解約予告期間が8ヶ月、敷金償却3ヶ月という場合の最大支払金額は以下の通りとなります。
- 解約予告期間の賃料(最大)・・・160万円
- 原状回復工事(内容により)・・・150万円
- 敷金償却(3ヶ月) ・・・ 60万円
合 計 370万円
不慮の事故や入院、介護などの突発的な事象により店を離れなくてはならなくなった際にかかる費用です。もし預けている敷金や保証金でまかなえるのであればいいのですが、それを上回ることになると大きな出費となります。
飲食店の廃業実態から閉店や移転のタイミングを考える
閉店、移転のタイミングをどのように考えればいいのか見てみましょう。
まず、敷金が戻ってくる額とタイミングを確認します。仮に敷金が100万円預けてあり償却が賃料の2ヶ月分で20万円だとすると戻ってくるのは80万円ということになります。解約予告期間が3ヶ月だと仮定し、返却のタイミングが明渡し後1ヶ月とするならば、今日解約予告の通知をしてもお金が帰ってくるのは「4ヶ月先」と言うことになります。
もしそのお金で借入金の返済やリースの残債の精算を考えているのであれば返還までの4ヶ月間は今まで通り支払いが発生することを忘れないでください。そこに原状回復工事代がいくら必要になるのかによって更に手元に残る金額は少なくなります。
飲食店を閉めるには、出て行くお金と戻ってくるお金をスケジュールに落とし込む必要があることがよくお分かり頂けると思います。
飲食店は売れる!閉店・廃業・移転前にまず行動
閉店、移転をするには、賃貸借契約で原状回復工事を行い元の状態戻すことが義務付けられていますから、どうしてもお金がかかります。最近は、居抜きの飲食店舗物件が数多く出回っているのに自分のお店は認めてもらえないのではと不安を抱いている飲食店オーナーは多いと思います。過去に言われるままに原状回復工事を行い苦しい経験をしたオーナーも数も多いと思います。
マンションやアパートを借りるのと違い飲食店として借りた不動産は事業用という位置づけになり、必ずしも次も飲食店とは限らないからです。借りた側も消費者ではなく事業者として扱われるので契約書通りビジネスライクに進む厳しい環境です。
そうは言えども、家賃が途切れなければ次も飲食店でもいいと考える大家さんも多くいらっしゃるのも事実です。この点で、原状回復をしない居抜きで次に飲食店を引き継いでくれる方を探すのが、解約届を大家さんに出す前に取るべき行動です。