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閉店する飲食店には共通点するパターンがある
飲食店の経営者から電話を頂きます。しかし、お決まりの要望が出る飲食店は大抵商売がうまくいっていない可能性高いのです。
飲食店の契約、管理に多数関わっておりますとある法則が出て参ります。先ほどの要望とは早い段階で閉店するサインの一つだったのです。その要望は、時間と共に形を変えてゆき事態は悪化することが往々にしてあります。
ただ多くの場合どこかの時点でキッカケを掴んで軌道修正するものなのですが最悪の場合閉店へとつながります。
今回は、第三者の目で閉店をする飲食店が発する予兆をまとめてみました。事情はどうであれ結果として現れるものです。今回はその予兆をひきおこす原因は何なのかお考えいただきながらお読み頂ければ幸いです。
飲食店閉店の予兆1.「看板についての相談がはいる」
一口に看板と言ってもいろんな相談があります。最初は付けるつもりのなかった袖看板の取り付け相談、置き看板を内照式にする為に電源をどうするかの相談、今までなにもなかった壁面に看板を追加したいとの相談、それはもう様々です。
そんなご相談があった際は必ず理由を伺ってみてください。まず100%といっていいほど思ったより集客が出来ていないからとの返答が帰ってくるはずです。
ご相談を頂く時の店主心理とはこうです「お店の存在に気が付いてもらえないからお客様が来ない」というものです。ある意味正解なのですが本質的には別のところに原因あると考えるべきです。
本来看板とはインフォメーションです。店名を表示することでそこにお店が存在することを伝え、どのようなコンセプトのお店なのかどのような料理を提供するのかを知らせる役割を持っています。これらは主に固定されている看板の役目です。
これとは別に可動式の看板にも役目があります。ランチや季節のイベント告知をする役割を持っています。そもそも出店をする前に計画しておかなければならないものをオープンしてから来客数が増えないからと慌てていること自体が計画の甘さを物語っています。
さらに事態はエスカレートします。大家さんや管理会社に許可が必要な看板以外の看板の数が徐々に増えるのです。路上に出すA型看板や軒先のタペストリー、人通りの多い通りから一本入っている場合などはその曲がり角に看板、店頭に宣伝用の手作りポスターなどどんどん数が増えてゆき、結果うるさくなって宣伝効果を落としていると言った状態になります。
多くの商品情報を伝えることで少しでも振り向いてくれるお客様をふやしたいという心理がうかがえます。集客を看板の大きさや数に依存する間違った方向に向かうのではなく、味で人を呼ぶ看板商品を十分吟味してから看板で勝負するべきです。くれぐれも順番を間違えないでください。
飲食店閉店の予兆2.「小さなクレームやトラブルが増える」
看板の工夫で落ち着けばよいのですが、それでも集客に苦労するような場合は次のステージに進みます。ちょっとした小言やクレームが寄せられるようになります。先程の看板で言えば、別のお店がいつも自分が置いているスペースに看板をはみ出して置いているので何とかして欲しいといったケースが目立ちます。ランチ時であれば、自分たちの店先で別のお店がビラ配りをしているのでお客様が入ってこないからやめさせてほしいだとか、1階のお客様が階段付近でたばこを頻繁に吸うので2階にある自分の店にお客様が入りづらくて困っている。などなど、具体例をあげればきりがありません。
お話を伺うと決まって、お客様が来られないのは「誰か」や「何か」などの理由が存在しているのでそれを改善や取り除いてほしいといった外向きの理由ばかりです。本当にご迷惑が掛かっているケースももちろんあるのですが、後々そのことが解消されなかったので結果お店が上手くゆかなかった、だから閉店するのは貸す側のせいだと主張されることが往々にしてあります。
お分かりの様に売上不振の理由を外に求め始めるタイミングというのは、いろいろと手は打ってみたものの改善の兆しが見えない為イライラされている心理状態だと思います。ここで店主ご本人だけで悩みを抱えこむと一層不健全な方向に進みがちです。もしこのような状態をご自身が気づかれた際は、同業の知り合いや先輩などにアドバイスを求めることをお薦めします。なぜなら改善への視点を変えることができる可能性が高いからです。ちょっとしたヒントで早々に解決に向かうことが出来ます。
飲食店閉店の予兆3.「家賃の支払い期日が遅れ始める」
ステージとしては黄色信号から赤信号に変わる瀬戸際のサインです。例えばこうです。家賃の支払日が毎月25日と契約書にうたわれているとしましょう。契約当初は毎月25日に振り込まれていた家賃が1日遅れて26日になる月があったり、28日になる月があったり、ますますエスカレートして30日や31日といった月末になる日が出てくるようになるとお店の経営状態があまりうまくいっていないことがうかがえます。
月末にかけて食材やお酒の買掛金の支払いが家賃と同様にめぐってきます。飲食店の場合食材やお酒の支払いが滞ると直ぐに取引ができなくなりお店を開けられなくなります。
したがって支払いの優先度から言うと家賃が後回しにされるという事態が発生します。家賃を管理する側が契約書にうたわれている期日を甘く考えていると徐々に支払いが先送りされ、日々の売上から足りない分を補てんしながら家賃を払うという悪循環を完成させてしまうのです。
家賃を支払う側の理論として滞納している訳ではなく少々支払いが遅れているだけだと言うかもしれませんが、この甘えが健全な飲食店経営を蝕んで行きます。極端に雨の多い月や税金の改定(消費税の引き上げ等)などの緊縮ムード、さらには今回のコロナのような社会的不安要素などが加わり客足が落ちた時など本当に家賃が払えなくなります。
一般的に売り上げの10%が賃料の目安と言われています。これに対し、いかにして客を増やし売り上げを上げるかばかりを考えるのではなく、発想を逆にして、家賃をキチット払う為に客単価、食材の原価率管理、廃棄率の管理を厳格に行うかを真剣に考えましょう。
人員削減は危険!閉店を招きます
実は小型店が陥りがちなところがもう一点あります。売り上げが伸びないので、アルバイトやパートさんの人数を減らしてしまうのも結構危険な賭けです。カウンターがメインで厨房で料理も作りながらオーダーもとれるお店であればその選択もなくはないのですが、厨房から客席が見えないような作りだと注文から料理が出るまで時間がかかったり、お客様がオーダーする時も声をかけづらいということが起こります。
これは客離れを加速させかねません。安易な選択をなさらないよう十分に検討されることをお薦めします。
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