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居抜き店舗コラム

飲食店 後悔しない居抜き店舗売買契約

 

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飲食店 後悔しない居抜き店舗売買契約

 

 

ごく最近まで飲食店の居抜き売買の現場ではトラブルが頻発していたと言います。一例をあげますと、あるはずの厨房機器がなかった、動くはずのエアコンが実は壊れていたなどご苦労されたお話を伺うことがあります。なぜでしょうか?

話が進むにつれ徐々にその答えが分かってきます。居抜き店舗の売り買いが決まった時点で口約束を交わしただけで何も書面にしていない場合がほとんどの様なのです。

確かに民法上は口約束で契約は成立しますが、決して安い買い物ではないだけに、数量、状態、金額、トラブルの解決策をキチンと書面にしておく必要があります。お知り合い同士でも気をつけたい飲食店の内装、設備、什器等いわゆる飲食店の居抜き店舗売買について重要なポイントを3つの注意点で考えて見たいと思います。

 

重要な注意点は3つ

1.誰の所有物か

2.何をどれだけいくらで買うのか(売るのか)

3.トラブルになった場合どう対処するのか

誰の所有物か

 

居抜き物件の店内にあるすべてのものがお店を売ろうとしている店主・お店のオーナー(以下売主と表現します)の所有物かどうか見ただけでわかりますか?答えはNOです。もしかすると他人の物を売ろうとしているかもしれません。

居抜き店舗に関わる全てのもの(内装、外装、ダクト、看板、厨房機器、什器備品等)が売主の所有権である場合は何の問題もないのですが、リース物品、レンタル物品などが含まれている可能性が十分あります。その場合はどうすればいいでしょうか。

 

・リース物品

物件の引き渡し時までにリース代金の残債を精算して売主ご本人の所有権にしてから引き渡しを受けてください。

もし売主の所有物だと信じてリース物品を買ってしまった場合ですが、重大な問題が生じます。

・リース会社が物品を引き上げてしまいます(無くなる)

・リースの残債を引き継ぐ(余分なお金が発生)

 

 

・レンタル物品

主に、ビールサーバーはビール会社からレンタル品であることが殆どです。また、レンタルおしぼりの契約があるお店はおしぼりウォーマーなどを置いている場合がありますが、まずレンタル品だと思って間違いありません。USEN放送の設備も同様です。これらは飲食店を売却する前に返還の手続きをとる必要があります。

たまにお酒の卸会社からジョッキやビール瓶などを冷やす冷蔵ショウケースなどがレンタルされていたと言う場合もあります。疑わしきは事前に確認しましょう。

 

飲食店 居抜き店舗の売買(造作譲渡)支払い手数料とは

 

何をどれだけいくらで買うのか(売るのか)

 

テーブルや椅子などは何脚か、コールドテーブルは何台か、電話機やFAX、レジスターに音響設備は含まれるのか?しっかりと決めておく必要があります。これをリストなどの書面にしておかないと引き渡し時にトラブルとなります。

 

実際にあった話

バルスタイルのお店に本格的な電気式のピッツァ窯が設置された居抜き物件でした。書面も交わさないまま引渡日を迎え店内を確認したところその窯が無くなっていたのです。お店の売主はピッツァ窯が高く売れること知っていたので最初から別途売るつもりだったようですが買う側も最初に物品の確認を怠っていたようです。結局売買価格の調整で決着したと聞きました。買主はあてにしていた窯が無くなり新品を高いお金を払って購入されたそうです。

飲食店を居抜きで買う側は、リストを作成しそのものが全て揃っての買取価格だと言うことを主張できるようにしておかないと後でクレームのつけようもありません。

また重要なのは引渡時のコンディションです。新品と違い保証期間もなにもありません。直前の状態は作動確認をするなど注意を払えば十分な情報は得られます。

1.口頭でコンディションを聞く

2.実際に動かしてみる

3.修理履歴や保守契約の内容を確認する

ただし、引き渡し後数週間から数ヶ月で壊れてしまったという話はたまに聞きます。引き渡しが完了した時点で所有権が移りますので、ここは諦めて修理をするか新しいものに切り替えてください。

 

飲食店舗「譲渡」と「売買」の違い

 

トラブルになった場合どう対処するのか

 

トラブルと言っても先に上げた2つのポイントがほとんどです。ただ、いくら事前に確認をしていても店舗を売る側が虚偽の報告をしている場合は防ぎようがありません。そうなってしまった場合を想定して予め対応策を考えておく必要があります。

例えば、

・リース物品はないと言っていたのにエアコンがリースだった

・4ドア冷凍冷蔵庫のコンディションは万全と言っていたのに実際には壊れていた

また、ちょくちょく水漏れのトラブルが発生して直下階から修理の指摘を受けていたにも拘わらずそのことを黙っていたなど、引き渡し後虚偽の事実が発覚した場合、それが原因でお店が開けないことなどもあり得ます。そのような重要な要素であった場合は最悪お店の売買契約を解除できるようにしておくべきです。物品の数が足りなくなっているようなケースは売買金額の減額等で調整することを予め決めておかれることも大事です。もっとも、実際にはその文言が抑止力となってあまりトラブルまで発展しないものです。

 

一番トラブルとなりやすいのが、実は清掃状態を巡る理解の違いです。ある売主はゴミを捨てるのにお金がかかると言う理由でゴミ袋詰めまではやったもののゴミ出しはせず店内に残置したままで引き渡そうとしました。当然買主は「俺はゴミまで買った覚えはない」とカンカンです。

飲食店の厨房にはグリストラップと言って雑排水管に調理した油が流れ出さないよう排水濾し器が設けられているのですが、ここも少し清掃を怠ると油や食品の切りカスがたまり大変不衛生になりがちな場所です。ここも最初にお話をしておかないとすぐに詰りを起こし大変高額な洗浄費がかかる場合があります。

ともあれ、居抜き店舗の引き渡しは非常に神経を使うべきイベントであるにも拘わらず非常に簡単に双方が考えていていざその時になって事の重大さに気づくと言ったケースが多いように思います。これも居抜き店舗の売買が宅地建物取引業法の規定になく重要事項の説明事項にも定められていない関係で標準的な引渡ルールが確立されていないことにも起因しています。

もし、飲食店の居抜き物件をお買いになる場合は、ご自身で3つの注意点をチェックするか不動産会社を通しての場合であれば経験豊富かどうか、チェックポイントをちゃんとおさえている会社かどうか確認することをお薦めします。

 

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